玉砕ぎょくさい)” の例文
すると大佐は彼の作った弔辞の出来栄えを賞讃した上、「急焉きゅうえん玉砕ぎょくさいす」と云う言葉はいかにも本多少佐の死にふさわしいなどと云う批評をくだした。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つまり初手しょてから玉砕ぎょくさいを期していたものとしか見えず、正行の大童おおわらわなすがたを中心に、一とき、わあッと、どよみを揚げた武者どもの叫びは、喊声かんせいというよりも
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁度ちょうど、サイパンがちた直後で、どうせ私達は南方の玉砕ぎょくさい部隊だと、班長たちから言われていた時で——
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「強引にね、今日は、会社をサボらせちゃったんです。だから、今日は彼女はここを歌を歌っては通りませんよ。昨日いったのは取り消しです。アッツ島玉砕ぎょくさいの歌でしたね?」
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
「どうせ死ぬのなら、こんな女のからだではなく、せめて自分のからだで死にたいと思いましてね。いよいよ玉砕ぎょくさいときまったら、先生に手術してもらいたいと思いまして……」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
玉砕ぎょくさいという題にするつもりで原稿用紙に、玉砕と書いてみたが、それはあまりに美しい言葉で、私の下手へたな小説の題などには、もったいない気がして来て、玉砕の文字を消し、題を散華さんげと改めた。
散華 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「そうさ、玉砕ぎょくさいさ、人間は玉砕に限るよ」
雨夜続志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「一億玉砕ぎょくさいでなかった!」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
敵が鎮台を出て降るか、全山を自爆して玉砕ぎょくさいと出るか。今日にもあり得ることと信じていたのである。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家厳いえとしは落涙がとまらなかった。玉砕ぎょくさいいさぎよしとして主張していた一徹な愚かさを、日ごろ病弱あつかいにしていた子から訓えられて、背に百杖を下された心地に打たれた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一地で玉砕ぎょくさいすることを以て、武家の本懐ほんかいだと、言い出すであろう。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玉砕ぎょくさいだろう。彼らとすれば」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玉砕ぎょくさいか、貫徹かんてつか)
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)