猿廻さるまわ)” の例文
乗合舟のりあいぶね鳥追とりおい猿廻さるまわしなど在来の型の通りで、中には花見帰りの男がたるしりを叩いて躍っている図などもあったが、一般にまだごく幼稚でありました。
あるとき猿廻さるまわしの背中せなかわれているさるに、かきをくれてやったら、一口ひとくちもたべずにべたにすててしまいました。みんながじぶんをきらっていたのです。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
猿廻さるまわしに来た。此は呂昇のがらにも無いし、連れ弾もまずいし、大隈おおすみを聞いた耳には、無論物足らぬ。と思いつゝ、十数年前の歌舞伎座かぶきざが不図眼の前に浮んだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
首尾の松の釣船つりぶね涼しく椎木屋敷しいのきやしき夕蝉ゆうせみ(中巻第五図)に秋は早くも立初たちそめ、榧寺かやでら高燈籠たかとうろうを望む御馬屋河岸おんまやがし渡船とせん(中巻第六図)には托鉢たくはつの僧二人を真中まんなかにして桃太郎のやうなる着物着たる猿廻さるまわ
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)