献言けんげん)” の例文
旧字:獻言
藤吉郎なども、時折、信長の前へ出て、何か献言けんげんでもしていると、側にいて聞いている犬千代が、にやりと、口端くちばたくぼを作る。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉が、三木城へ、弟を入れて、ここを引き払ったのは、彼の意志でなく、もっぱら官兵衛孝高よしたか献言けんげんによるところが多かった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駒を返して、ふたたび秀吉にまみえ、前線諸陣地を一巡して気づいた兵の配備上のことや、また重要な一策を献言けんげんした。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「岩松の密使をここへ呼べ。もそっと詳しゅう彼の献言けんげんをきき、また、わが旨も充分に申しふくめておかねばならん。直々じきじきの面語も苦しゅうはないぞ」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、碑の正面は光圀の「嗚呼ああ忠臣楠子之墓ちゅうしんなんしのはか」の八文字でよいとしても碑陰ひいんの文がないのはさびしいといって、この事を老公に献言けんげんしたのも介三郎であった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の献言けんげん、そのはかり、至極妙と存じたゆえ、敵に洩るることをおそれて、却って、あのようにわざと叱ったわけでした。あとで貴所あなたからよくいたわってつかわされるように
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれの重臣の一名は、心からそれを信じて、献言けんげんしていた。それは家中全般の底流にある不安なささやきとも、戦略的見地からも、一致する意見にはちがいない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝川一益や佐久間信盛は、しきりと安土の信長へ向って、前線から献言けんげんした。すでに織田譜代ふだいのなかまには、中国陣開戦以来、秀吉の功をそねむ心理が多分にかもされていたのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一挙に浅井の本城小谷を奪取だっしゅしてしまうべきだと、木下殿が切に献言けんげんなされたそうだが、お用いもなく、その翌日、敵の出城でじろ、横山城だけを落して、木下殿をそこへ詰め置かれたまま、早速にも
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何かしきりと献言けんげんしている斎藤別当実盛さいとうべっとうさねもりのことばを熱心に聞き取りながら、清盛は、大きくうめいたり、首を振ったり、重盛を亡くしてから老来とみに悄沈していた彼も、にわかに、驚きによみがえって
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
献言けんげん
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)