牡丹燈籠ぼたんどうろう)” の例文
新字:牡丹灯籠
日本の幽霊は普通とろとろと燃える焼酎火しょうちゅうびの上にふうわりと浮いていて、腰から下が無いことになっているが、有名な円朝えんちょう牡丹燈籠ぼたんどうろうでは
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人魂や牡丹燈籠ぼたんどうろうの芝居は夏に限って現われる、井戸の水は夏においてつめたくなる、石炭やストーブや火鉢ひばちや、綿入れや、脂肪は
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
または円朝の『牡丹燈籠ぼたんどうろう』や『塩原多助』のようなものは、貸本屋の手から借りた時、ひらいて見たその挿絵が文章よりもかえって明かに記憶にとどまっている。
十六、七のころ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いや、ところが、こうしたまるで『牡丹燈籠ぼたんどうろう』の新三郎のような不吉な御容子は、そのまま四日ほども段々高まり続いて、とうとう恐ろしい最期の夜が参ったのでございます。
幽霊妻 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
明石あかしの着物を着た凄いほどの美人が、牡丹燈籠ぼたんどうろうのお露のような、その時分にはまだ牡丹燈籠という芝居はなかったはずですが、そういったような美人が、舞台から抜け出して
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
若林玵蔵かんぞう、小相英太郎、今村次郎の速記をもって「牡丹燈籠ぼたんどうろう」「安中草三」「塩原多助」「美人の生埋」「粟田口」「乳房榎ちぶさえのき」「江島屋」「英国孝子伝」と相次ぐ名作が、落合芳幾
円朝花火 (新字新仮名) / 正岡容(著)
四年前に発明された速記術がその頃ようやく実際に応用されて若林玵蔵かんぞうの速記した円朝えんちょうの『牡丹燈籠ぼたんどうろう』が出版されてきた口話の実例を示したのが俄に言文一致の機運を早めたのは争えない。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
牡丹燈籠ぼたんどうろうとかの活人形いきにんぎょうはその脇にあり。酒中花しゅちゅうか欠皿かけざらに開いて赤けれども買う人もなくて爺が煙管きせるしきりに煙を吐く。蓄音機今音羽屋おとわやの弁天小僧にして向いの壮士腕をまくって耶蘇教やそきょうを攻撃するあり。
半日ある記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
円朝の怪談で有名なの『牡丹燈籠ぼたんどうろう』は『剪燈新話』の中の『牡丹燈記』から出たもので、この牡丹燈記の話は、他にもいろいろな話になっている。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)