牛乳ミルク)” の例文
それでいてあがるものはというと、牛乳ミルクを少しと、鶏卵ばかり。熱が酷うござんすから舌が乾くッて、とおし、水でぬらしているんですよ。
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
牛乳ミルクさえ飲む気にならん。陽気は暖か過ぎる。胃は重い。引く足は千鳥にはならんが、しか踏答ふみごたえがないような心持である。そとおろすせいかも知れぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人間といふものは、頭に水気が多いとか、霊魂たましひ牛乳ミルクにほひがするとか言つてけなされても、大抵の場合笑つて済まされるものだが、唯胃の腑の事になるとさうは往かない。
早朝から飴色の陽がみなぎる静かなうらうらとする朝ばかりが続いてゐた。二人は、釣籠井戸から汲まれる冷水で顔を洗ふと、もう家には上らずに蜜柑の樹の蔭で牛乳ミルクだけを飲んで出かけた。
F村での春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
けふの夜食やしよくやきパンにジヤムと牛乳ミルクはんとぞ思ふ。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
女は牛乳ミルクを欲しがる小猫のやうに、美しい舌の先を出してその薬料を受取つた。
麺麭パンにジヤムをつけて噛じるのもよい、また覆盆子いちご牛乳ミルクをぶつ掛けてすゝるのもよいが、それよりもずつと効力ききめがあるのは、羅馬字を普及させる事だと信じてゐる博士は、カルテは無論の事
敵味方とも牛乳ミルクや新しい肉にかつゑてゐるので、うとかして、自分達の塹壕に引張り込まうとするが、ひよつくり頭でも出すと、直ぐ弾丸たまが鳴つて来るので、そんな険呑けんのんな真似も出来なかつた。