父爺ちゃん)” の例文
い気なことを言ってらあ、おめえ母親おふくろは死んでやしねえじゃないか、父爺ちゃんの敵なら中気だろう、それとも母親おふくろなら、愛こう、お前がその当の敵だい。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「威張らなくッたって、何も、威張らなくッたって構わないから、父爺ちゃんが魚を食ってくれるといけれど、」と何と思ったか与吉はうつむいてしおれたのである。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なぜッてますと、あとで分りましたが、そのお夏さんの勝山といううちは、私の亡くなりました父爺ちゃんが、船頭で、奉公人同様に久しい間御恩になったのでございました。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前の身体からだを無事なよう計らいましょうと、父爺ちゃんが亡くなってからも暑さ寒さにゃあお見舞を欠かしたことがないという、律儀はこんな時用に立ちます、で母親おふくろが取りあえず。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つまらねえことを父爺ちゃんいうもんじゃあねえ、山ン中の爺婆じじばばでも塩したのを食べるッてよ。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
与太坊よたぼう父爺ちゃんは何事もねえよ。」と、池の真中まんなかから声を懸けて、おやじは小屋の中をのぞこうともせず、つまさきは小波ささなみぶるばかり沈んだいかだを棹さして、この時また中空なかぞらから白い翼をひるがえして
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)