かし)” の例文
戦前には多くの日本留学生が此地に居り、日本飯をかしぎ、牛肉の鋤焼すきやきをし、窓前に紅い若葉の楓盆栽をおいて、端唄はうた浄瑠璃を歌つたその名残ではあるまいか。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
二人がかりで大騒ぎをして三十郎に足洗すすぎをつかわせると、手を取らんばかりにして囲炉裏のそばへ連れて行き、それ飯をかしげ、風呂を沸かせ、柿の葉鮨でもつくらんか、糀漬のつぐみをいださんか
生霊 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
媼は日本の留学生に日本飯にほんめしかしいで呉れた。それから牛肉の鋤焼すきやきなどもして呉れた。併し日本飯をくとつても先づ米に幾通りかあつて、それを鑑別しないとうまい飯にはならない。
日本媼 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)