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濶葉樹
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かつようじゅ
ふりがな文庫
“
濶葉樹
(
かつようじゅ
)” の例文
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
の大木が道の
空
(
あき
)
まで茂り合っている辻の曲り角までその一騎が来かかった時、つと木陰から往来へ躍り出て
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
の葉ごしに緑の光がさして切るような朝の気が音もなく流れてくる。崖をおりて浜へ出る。村の人たちはまだ起きたばかりであろう、湖にも岡にも影がみえない。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
されば駿河湾の暖流
駛
(
は
)
しるところに近い浅間神社のほとり、
檞
(
かしわ
)
や、
榊
(
さかき
)
や、
藪肉桂
(
やぶにっけい
)
などの常緑
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
が繁茂する暖地から、山頂近くチズゴケやハナゴケなど、寒帯の子供なる
苔
(
こけ
)
類が
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
そういう武装は、原始林にいどみ、野獣に備え、
餌
(
え
)
ものを
漁
(
あさ
)
る用具であった。踏みあばいて行く川の
畔
(
ほとり
)
の
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
つづきの森林に、彼らはふと、黒々と見える常緑の
水松
(
おんこ
)
を発見した。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
海ぞいに
生
(
は
)
えそろったアメリカ松の
翠
(
みどり
)
ばかりが毒々しいほど黒ずんで、目に立つばかりで、
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
の類は、いつのまにか、葉を払い落とした枝先を針のように鋭く空に向けていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
その手前の一露里ばかりと思われる向うには、コンモリとしたまん丸い
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
の森林が、ちょうどクライフスキーの町の離れ島のようになって、
草原
(
くさはら
)
のまん中に浮き出しておりました。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
年処を経たオンコの珍しい巨大なのが一本、あたりの
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
のなかにそびえ、緑というよりはむしろ、重くくろずんだまッ黒なときわ葉を密生させ、すッくと原野を
睥睨
(
へいげい
)
していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
惨憺
(
さんたん
)
といおうか、夜来の雨を加えて、濁り
漲
(
みなぎ
)
った水は、高松城ひとつを、その湖心にぽつんと残しているほかは、その石垣も、
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
の森も、
刎橋
(
はねばし
)
も、屋敷町の屋根も、部落も、田も畑も、道も
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濶葉樹
(
かつようじゅ
)
のすき間にちらついていた空は
藍青
(
らんせい
)
に変り、重なった葉裏にも黒いかげが漂っていた。進んで行く渓谷にはいち早く宵闇がおとずれている。足もとの水は
蹴立
(
けた
)
てられて白く泡立った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
濶
漢検1級
部首:⽔
17画
葉
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
樹
常用漢字
小6
部首:⽊
16画
“濶葉樹”で始まる語句
濶葉樹林