潔癖けつぺき)” の例文
蛇の半殺しで、愚圖々々に二人の女から遠ざかつて、良い子にならうといふ金之助の態度に、潔癖けつぺきな平次は、一寸胸を惡くしました。
何遍なんべんいたしましても、おなじことでござります。』と、玄竹げんちくはこの潔癖けつぺき殿樣とのさま相手あひてをしてゐるのが、すこ迷惑めいわくになつてた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
おそろしく潔癖けつぺきしも見窄みすぼらしい草木さうもく地上ちじやうにじりつけた。人間にんげんりたものはでもはたでも人間にんげんりて到處いたるところをからりとさせる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
少し横柄なのは、日頃の平次にない態度ですが、此女に白い齒を見せたら、さぞ厄介だらうと言つた、平次の潔癖けつぺきさのためでもあります。
世の中にはさう言つたヒステリー性の潔癖けつぺきから、男を寄せつけない女のあることを、平次も幾つか知つて居りました。
平次は膝を乘出しました、不精で潔癖けつぺきで、容易には金持の頼みなどを耳に入れない平次ですが、叔母さんの頼みといふと、放つても置けないやうな氣がしたのでせう。
その上近頃はかんたかぶつて、眠られぬ夜が多くなり、身體に脂がのつて、益々健康がよくなると反比例はんぴれいに、氣持の上からは少しむづかしくなつて、男女關係のことに就ては、わけても潔癖けつぺきになり
御内儀の銀簪ぎんかんざし、二分か三朱のかせぎに滿足して、萬々一思はぬ大金をすり取つたりすると、大骨を折つてすられた人を搜し出し、要らない分は、窓から投げ返して來るといふ、途方もない潔癖けつぺきさです。