とどこおり)” の例文
旧字:
葬列はとどこおりなく、彼が家の隣の墓地に入った。此春墓地拡張の相談がきまって、三あまりの小杉山をひらいた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
変に物干ばかり新しい、妻恋坂下へ落ちこぼれたのも、洋服の月賦払げっぷばらいとどこおりなぞからひっかかりの知己ちかづきで。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伯爵家では郵便が来る度に、跡継ぎの報告を受け取って、その旅行のとどこおりなくはかどってくのを喜び、また自分達の計略の図に当ったのを喜んでいる。かねは随分掛かる。しかし構わない。
水馬みずすましがつういつういと、泳いでいる、そのおもてには、水々しい大根を切って落したような雲が、白く浮いている、梓川の水は、大手を切って、気持のいいように、何のとどこおりもなく、すうい
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
彼はかえって面喰めんくらった。だがその場のとどこおりを流すように
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)