清朝しんちょう)” の例文
正保しょうほう元年、明朝みんちょうほろびて清朝しんちょうとなったころから、明末の志士、儒者なぞのこの国に来て隠れるものもすくなくはなく
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは清朝しんちょう初期の学者たちが言い出したものらしく、また一方には、たといそれが干宝の原本でないとしても、六朝時代に作られたものに相違ないのであるから
支那人は清朝しんちょう二百年の風俗を改めて、われわれと同じように欧米のものを採用してしまったので、今日の上海には三十余年のむかし、わたくしが目撃したような色彩の美は
十九の秋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
岡村が持って来た清朝しんちょう人の画を三幅程見たがつまらぬものばかりであった、頭から悪口も云えないで見ると、これも苦痛の一つで、見せろなど云わねばよかったと後悔する。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
排満興漢はいまんこうかんの旗じるしをかかげたあの中国革命同盟会の本部が東京にあったればこそ、安全に守られて、清朝しんちょう顛覆の大業も成功を見ることができたのだと先生はおっしゃった。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
革命派の支持者と清朝しんちょうの支持者との間にはげしい議論が持ち上った。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし明治のはじめに男子が髪を斬ったのは、独逸ドイツ十八世紀のツォップフが前に断たれ、清朝しんちょう辮髪べんぱつのちに断たれたと同じく、風俗の大変遷である。然るに後の史家はその年月を知るにくるしむかも知れない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)