淡褐色たんかっしょく)” の例文
最初はけば/\しい新屋根が気障きざに見えたが、数年の風日は一をくすんだ紫に、一を淡褐色たんかっしょくにして、あたりの景色としっくり調和して見せた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
くちばし浅緑あさみどり色、羽は暗褐色あんかっしょく淡褐色たんかっしょく斑点はんてん、長い足は美しい浅緑色をしていた。それをあらくつぶして、骨をトントンと音させてたたいた。それにすらかれは疲労つかれを覚えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
仁左衛門さんとこ大欅おおけやきが春の空をでて淡褐色たんかっしょくに煙りそめる。雑木林のならが逸早く、くぬぎはやゝ晩れて、芽をきそめる。貯蔵かこい里芋さといもも芽を吐くので、里芋を植えねばならぬ。月の終は、若葉わかば盛季さかりだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)