もる)” の例文
通り懸りけるに山下の溷際どぶぎは深網笠ふかあみがさの浪人者ぼろ/\したる身形みなりにて上には丸に三ツ引の定紋ぢやうもんつきたる黒絽くろろほたるもるばかりの古き羽織を着しうたひをうたひながら御憐愍ごれんみんをと云て往來の者に手の内を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けふのとまりのことを知りて出迎へし「リフレエ」着たる下部しもべに引かれて、白石はくせききざはしのぼりゆくとき、園の木立をもるるゆふ日あけごとく赤く、階の両側ふたがわうずくまりたる人首じんしゅ獅身ししんの「スフィンクス」を照したり。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)