水芸みずげい)” の例文
なかんずく大評判、大当たりは、滝の白糸が水芸みずげいなり。太夫たゆう滝の白糸は妙齢一八、九の別品にて、その技芸は容色と相称あいかないて、市中の人気山のごとし。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
竹の梯子はしご抜身ぬきみの刀を幾段も横に渡したのに、綺麗な娘の上るのや、水芸みずげいでしょう、上下かみしもた人が、拍子木でそこらを打つと、どこからでも水の高く上るのがあります。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
喜多村は泉鏡花氏作「たき白糸しらいと」の、白糸という水芸みずげい太夫たゆうになっていた。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
伸子が朦朧状態で演奏している——ちょうど讃詠アンセムの二回目あたりで、彼女の眼前を、まるで水芸みずげい紙撚こより水みたいに、やいばの光がひらめき消えながら、横になり縦になりして、鎧通しが下降していったのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
水芸みずげいのお政さんじゃ、少し年功が足りないわねえ」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
柳川一蝶斎の一座の手妻てづまに、水芸みずげいというのがある。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)