水滸伝すゐこでん)” の例文
が、「水滸伝すゐこでん」「西遊記さいいうき」「金瓶梅きんぺいばい」「紅楼夢こうろうむ」「品花宝鑑ひんくわはうかん」等の長篇を絮々綿々じよじよめんめんと書き上げる肉体的力量には劣つてゐると思つてゐる。
将門があたか水滸伝すゐこでん中の豪傑が危い目に度〻つてつひに官に抗し威を張るやうな徑路を取つたのも、考へれば考へどころはある。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それから呉越軍談が贔屓になる。従つて堅いものが好きになつて来た。それで水滸伝すゐこでん、三国志、関羽の青龍刀、張飛の蛇矛などが嬉しくつて堪らない。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
独りで寂しい昼飯をすませた彼は、やうやく書斎へひきとると、何となく落着がない、不快な心もちをしづめる為に、久しぶりで水滸伝すゐこでんを開いて見た。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
答 水滸伝すゐこでんでも、やり権三ごんざでも、皆事件を主にして居る。しかし矢張やはり東洋的である。ゲエテの「さ迷へる人の歌」のやうなものは、心境を主として居る。しかし矢張り西洋的である。
東西問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
知者は三千里外にその臭を避け、昧者まいしやは一弾指間しかんにその毒にあたる。思ふに是泥黎でいり口業こうげふ羅貫中らくわんちう水滸伝すゐこでんを作つて、三生唖子さんせいあしを生むとせば、寿陵余子また骨董羹を書いて、そも如何いかん冥罰みやうばつをか受けん。
早い話が八犬伝は、手もなく水滸伝すゐこでんの引写しぢやげえせんか。が、そりやまあ大目に見ても、いい筋がありやす。何しろ先がからの物でげせう。そこで、まづそれを読んだと云ふ丈でも、一手柄さ。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)