水撒みずまき)” の例文
そして自分が水をったので庭の草木の勢いが善くなって生々いきいきとして来る様子を見ると、また明日あした水撒みずまきをしてやろうとおもうのさ。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひまさえあればその事のほかに余念もなく、ある時は運動がてら、水撒みずまきなども気散きさんじなるべしとて、自ら水をにない来りて、せつに運動を勧めしこともありき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
熊吉くまきちという水撒みずまき人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を引張ひっぱって、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事でした。
おもいおもいに露店をならべてにぎわしく、生活のために社会と戦う人の右へ走り左へせて、さなきだに熱き日のいよいよ熱く苦しく覚うる頃となれば、水撒みずまき人足にんそくの車の行すぎたる跡より
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半蔵御門はんぞうごもんより外桜田そとさくらだの堀あるいはまた日比谷ひびや馬場先ばばさき和田倉わだくら御門外ごもんそとへかけての堀端ほりばたには一斉に柳がうわっていて処々に水撒みずまきの車が片寄せてある。この柳は恐らく明治になってから植えたものであろう。