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武邊
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ぶへん
好み候故
當時武家の奉公致し候と言ければ越前守殿
能こそ有體に申たり尤も其方が言はずとも汝が
素性は
大概知れたり此上は何事も
包まず明白に申せ
若僞らば爲にならぬぞシテ農人の
悴なれども
武邊を
して呉れろと
云棄て
追駈行く此掃部と云ふ者は
素より
武邊の達者殊に早足なれば一目散に
追行所に重四郎は一里餘りも
退たりしが
後より
駈來人音有り定めて子分の奴等が來る成らんと
深江村の入口に
千手院と云ふ小寺有り
住持は六十餘歳の老僧にて佛前に於て
讀經を