此頃このころ)” の例文
まちではじつにもう退屈たいくつです。だれ相手あひてはなしするものもなし。はなしものもなし。あたらしい人間にんげんはなし。しか此頃このころハヾトフとわか醫者いしやまちにはたですが。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さて我楽多文庫がらくたぶんこの名がやうや書生間しよせいかんに知れわたつて来たので、四方しはうから入会を申込まをしこむ、社運隆盛といふことば石橋いしばし口癖くちぐせのやうに言つてよろこんでたのは此頃このころでした
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
殊に此頃このころは前山の雪が消えて遠い山だけ白く残るから、紛糾した尾根が明瞭に識別され、重り合った糸のように細い雪線すら手繰り出すに困難でなく、正体を見届けるのに尤も都合が好い。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)