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欹
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そばた
ふりがな文庫
“
欹
(
そばた
)” の例文
馭者は振り返って見、車掌も振り返って見、例の勢のある馬でさえ、逆らいもせずに、耳を
欹
(
そばた
)
て振り返って見た。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
山の間から思ひもかけない広い大洋が見えたり、一帆の影の危く
欹
(
そばた
)
つて動いて行くのが見えたりした。
春雨にぬれた旅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
耳敏い爺さんは
凝然
(
じつ
)
と枕を
欹
(
そばた
)
てました。これまで數次かうして惡戲好な村落の若者の爲にぢらされた
例
(
ためし
)
がありましたからか、爺さんはもう非常な怒氣を含みました。
白瓜と青瓜
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
上ること廿四丁、
蟠廻
(
はんくわい
)
屈曲して山腹岩角を行く。石塊
𡵧𡵧
(
ぐわん/\
)
大さ牛のごとくなるもの幾百となく路に横り
崖
(
がい
)
に
欹
(
そばた
)
つ。時
已
(
すでに
)
卯後、残月光曜し山気冷然として
膚
(
はだへ
)
に
透
(
とほ
)
れり。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
山𤢖と怪しの老女、この関連は
愈
(
いよい
)
よ市郎の好奇心を湧かした。お政も冬子も珍しそうに耳を
欹
(
そばた
)
てた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
心の内で、「まず
可
(
よ
)
かった。」「あら、口笛の
音
(
ね
)
がするよ。」と綾子は耳を
欹
(
そばた
)
てたり、
戸外
(
そと
)
にて
喨々
(
りょうりょう
)
と二声三声、犬は疾風のごとく駈出だして、「変だ。」と思うまに見えずなりぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
息をころして忍びよると、容子やいかにと耳を
欹
(
そばた
)
てながら中の
気勢
(
けはい
)
を
窺
(
うかが
)
いました。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
さて
欹
(
そばた
)
つる耳もとの、さゞれの
床
(
とこ
)
の
海雲雀
(
うみひばり
)
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
欹
漢検1級
部首:⽋
12画
“欹”を含む語句
歔欹
傾欹
欹側
欹傾
欹目
欹立