欝葱うっそう)” の例文
あるいた道程みちのりは一あまりでございましょうか、やがて一つの奥深おくふか入江いりえ𢌞まわり、二つ三つ松原まつばらをくぐりますと、そこは欝葱うっそうたる森蔭もりかげじんまりとせる別天地べってんち
雨中田植を見る 六月十六日午前五時に非常に雨の降る中をおかして出立しゅったつして、欝葱うっそうたる林の坂道を下ること十三哩にしてリンタムに着きましてそこに宿ったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
日本アルプスに欝葱うっそうたる森林の多いのを、その最も愛すべき特徴としていた、同氏が穂高岳に登ったとき、あの森林の梢と梢との間に、ハムモックを吊って、満身に月光を浴び
上高地風景保護論 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
山上樹木欝葱うっそうたる上に銀河の白くかかりたる処、途上に人とはなしながらふと仰向けば銀河の我首筋に落ちかかる処、天の川を大きく見ず、かへつて二、三尺ほどの溝川みぞがわの如く見立てたる処
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)