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櫛形
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くしがた
ふりがな文庫
“
櫛形
(
くしがた
)” の例文
櫛形
(
くしがた
)
の月が空にかかっていた。天福寺の本堂が影絵のように見え、風はないが海が近いので、空気に
汐
(
しお
)
の香がかなりつよく匂っていた。
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
始終の様子を、その物音の遠くになる果てまでを、殿上の“
櫛形
(
くしがた
)
の窓”のあたりで聞きすましていた女性がある。准后の
廉子
(
やすこ
)
であった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
讓の帽子を受け
執
(
と
)
った婢が
櫛形
(
くしがた
)
の盆に小さな二つのコップと、竹筒のような上の一方に口がつき一方に
取手
(
とって
)
のついた壺を乗せて持って来た。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
なぜといえば、その都市の人々は必ずその川の流れに第三流の
櫛形
(
くしがた
)
鉄橋を架けてしかもその醜い鉄橋を彼らの得意なものの一つに数えていたからである。
松江印象記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
欄間
(
らんま
)
としても
櫛形
(
くしがた
)
よりも
角切
(
かくぎり
)
を択ぶ。しかしこの点において建築は独立な抽象的な模様よりはやや寛大である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
▼ もっと見る
夜になると曇るので気づかずにいたが、もう九日ぐらいだろうかと思われる上弦というより左弦ともいうべきかなり肥った
櫛形
(
くしがた
)
の月が、川向うの密生した木立の上二段ほどの所に昇っていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
松林の中を右のほうへくだり、繩
梯子
(
ばしご
)
で崖をおりた。そのとき観音谷の地形が、ほぼ眼の下に眺望できた。
櫛形
(
くしがた
)
の月が空にあるので、狭い谷あいはかなり明るかった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし
櫛形
(
くしがた
)
の鉄橋には懐古の情も起って来ない。僕は昔の両国橋に——狭い木造の両国橋にいまだに愛惜を感じている。それは僕の記憶によれば、今日よりも下流にかかっていた。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし
櫛形
(
くしがた
)
の鉄橋には懐古の情も起つて来ない。僕は昔の両国橋に——狭い木造の両国橋にいまだに
愛惜
(
あいじやく
)
を感じてゐる。それは僕の記憶によれば、
今日
(
こんにち
)
よりも下流にかゝつてゐた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
だから「諸国
銘葉
(
めいよう
)
」の柿色の
暖簾
(
のれん
)
、「
本黄楊
(
ほんつげ
)
」の黄いろい
櫛形
(
くしがた
)
の
招牌
(
かんばん
)
、「
駕籠
(
かご
)
」の
掛行燈
(
かけあんどう
)
、「
卜筮
(
ぼくぜい
)
」の
算木
(
さんぎ
)
の旗、——そういうものが、無意味な一列を作って、ただ雑然と彼の眼底を通りすぎた。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
櫛
漢検準1級
部首:⽊
19画
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“櫛形”で始まる語句
櫛形山