極悪ごくあく)” の例文
旧字:極惡
それはかれが昨日まで天下にむかって極悪ごくあく兇首きょうしゅ、忘恩の人非人と、を鳴らして、家康とともに、その罪をかぞえた敵である。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがてはしらはね族にもそむき、ついに、極悪ごくあくこのうえもない、大どろぼうのアラシに権力けんりょくをあたえてしまったのです。
敵を極悪ごくあくに宣伝しなければならない。第三者の同情を引かなければならない! 彼はこれをよく知っていた。……
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
おそろしい顔だ、太い鉄鎖てっさでつながれている囚人だ。極悪ごくあくの人間なのであろう。なんというおそろしいことだ。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たとえそれがばん人であってもいい、極悪ごくあくの人殺しの悪漢どもといっしょにいるよりか、どれだけ幸福かしれやしない、だが、海蛇うみへびのやつもなかなかぬけめがない
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
誠党が奸党を見るのは極悪ごくあくの人間と心の底から信じたのであって、奸党が誠党を見るのもまたお家の大事も思わず御本家大事ということも知らない不忠の臣と思い込んだのであった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
はらみ女の腹をく。鬼女とも悪魔とも譬えようもない極悪ごくあく非道の罪業ざいごうをかさねて、それを日々の快楽けらくとしている。このままに捨て置いたら、万民は野に悲しんで世は暗黒の底に沈むばかりじゃ。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
極悪ごくあくな男だか知れない——わたしの姉さんだってその通り、優しくって、如才じょさいがなくって、うわべだけでない親切気のあった人——ついした間違いが、死を以てするよりほかにつぐないがないとは
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おのれ、極悪ごくあく山大名やまだいみょう!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)