よう)” の例文
姓はよう、名は梨琴りきんといって、気のやさしい——その代り病身そうな細腰の美人だったから、激しい働きには、不向きだった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それらの人間はみなようという姓を名乗っている。今日、蜀の西南地方で楊姓を呼ばれている者は、大抵その妖物の子孫であると伝えられている。
ようは驚嘆の眼を見開いて、この美しい山の姿を眺めた。が、その山が彼の細君の乳の一つだと云う事を知った時に、彼の驚きは果してどれくらいだった事であろう。
女体 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
……もともと、ちんよう、朱のわれら三名は、賊となるとも義賊たらんと誓い、死ぬ時も一つにと、血をすすって義兄弟の約束をした仲でした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしはよう州の或る家の娘でございます。きょう他へ輿入こしいれをする筈で、昼間から家を
ひとつ、よう輸送使へおすがりなすっておくんなさいな。——これからもまだ、山坂ですし、峠まで行ったところで、飲み水などありッこはねえ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「見たぜ、見たぜ! こう薊州けいしゅう牢役人のようのおかしら。——ここに人ありだ、すっかりこの耳で聞いちまいましたぜ! 梁山泊落ちのご相談もネ。へへへへ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)