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棄身
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すてみ
ふりがな文庫
“
棄身
(
すてみ
)” の例文
よしそれとても、
棄身
(
すてみ
)
の私、ただ
最惜
(
いとおし
)
さ、可愛さに、気の狂い、心の乱れるに
随
(
まか
)
せましても、覚悟の上なら私一人、自分の身は
厭
(
いと
)
いはしませぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中年者の恋はそれだけ
棄身
(
すてみ
)
で真剣なのです……いや、図に乗って四十を越えた私が気のさすお話をして恐縮です。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
一歩の空間を行き尽した靴は、光る
頭
(
こうべ
)
を
回
(
めぐ
)
らして、
棄身
(
すてみ
)
に細い体を大地に托した杖に問いかけた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その癖、おそろしく
焦燥
(
あせ
)
ってジリジリしている事はたしかだ。これぞと思う本があればポケットを
空
(
から
)
にしても構わないぐらい
棄身
(
すてみ
)
の決心をしている事だけはたしかである。
探偵小説の正体
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
激しい盲目的な愛情の為に夫も棄てその子も棄て真に
棄身
(
すてみ
)
になつて縋りついて来た女に対して終に自己の平時の聡明に自ら克ち得なかつた事も極めて浅ましい最近の事実で御座います。
わが敬愛する人々に
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
金の
蔓
(
つる
)
があって、一式のことに
落籍
(
ひか
)
して素人にしてやろうと、内々思ってました内は、何かしら心の底に
温
(
あったまり
)
があったのを、断然、
使
(
つかい
)
を帰した上、夫人の心も知れて見れば、いかに
棄身
(
すてみ
)
になった処で
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蝶吉は
残
(
のこり
)
少
(
すくな
)
になった年期に借り足して、母親を見送ってからは、世に
便
(
たより
)
なく、心細さの
余
(
あまり
)
、ちと
棄身
(
すてみ
)
になって、日頃から少しは
飲
(
い
)
けた口のますます酒量を増して、ある時も
青楼
(
ちゃや
)
の座敷で酔った帰りに
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
棄
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“棄”で始まる語句
棄
棄鉢
棄児
棄置
棄兒
棄子
棄値
棄却
棄鞭
棄措