さい)” の例文
それを仰ぎながら李逵は心から快哉かいさいを叫んだ。——ああこれで俺の過失もさいの大旦那の一命だけは拾って幾分かはまずつぐない得た、と。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魯に在って遥かに衛の政変を聞いた孔子は即座に、「さい(子羔)や、それ帰らん。ゆうや死なん。」と言った。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
『左伝』は孔子没する前年に「孔子、衛の乱を聞きて曰く、さいやそれ来たらん、由や死せんと」という語を録し、『礼記らいき檀弓だんぐうには「孔子、子路を中庭において哭せり」云々と記している。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
さいは愚かで、しんはのろい。はお上手で、ゆうはがさつだ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
するうちに、そのさい旦那のお添え状をもらっていたので、そのご旅烏に出た途中、鄆城県うんじょうけんのお宅様で、一ト晩ごやっかいになったもんなンで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうせそうでしょうよ。さい大人のお命が黄金なら、俺なんざ、屑鉄くずがねだ。虫ケラ一匹とも見られていないにちげえねえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)