末席ばっせき)” の例文
「僕達の級は十三人で僕が末席ばっせきです。十三人は不吉数アンラッキイナンバーだから、末席のものを落して十二人卒業させるとジョーンズさんが言っています」
首席と末席 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と、おりんが立って高坏たかつきを運ぶと、末席ばっせきにいた次郎も、ちょこちょこと銚子を持って神楽師たちの前にかしこまり
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな時には純一なんぞは気楽なもので、一番跡から附いて出て、末席ばっせきと思った所に腰を卸すと、そこは幹事の席ですと云って、曽根が隣りへ押し遣った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ねえ鈴木、君も実業家の末席ばっせきけがす一人だから参考のために言って聞かせるがね。あの金田某なる者さ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と粥河圖書は横着者でございますから末席ばっせきに下って手をつかえ
末席ばっせきの寺島君は十ばかり否定を連発したが、後が出なかった。この男は毎学期きまって殿しんがりを承わるくらいだから、会話は特に不調法だった。皆大笑いをした。
首席と末席 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
末席ばっせきで不意に立った者がある。憤怒ふんぬの眉が刀のつかを掴んで、跳びかかって来そうな顔を示したが
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
棭斎の家は津軽の用達ようたしで、津軽屋と称し、棭斎は津軽家の禄千石をみ、目見諸士めみえしょし末席ばっせきに列せられていた。先祖は参河国みかわのくに苅屋かりやの人で、江戸に移ってから狩谷氏を称した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
就中なかんずく哀れを止めたのは末席ばっせきを汚している土屋君つちやくんで、この生徒は最初はじめ
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)