木馬もくば)” の例文
こんな所を歩くのは、山岳家さんがくかなら朝飯前の仕事であろうが、私は元来中学時代に機械体操が非常に不得手ふえてで、鉄棒やたな木馬もくばにはいつも泣かされた男なのである。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一人がうつむいて馬になることは外国のも同じだが、遠くから走ってきて木馬もくばのように飛び乗り、足が地についたり、乗りそこねたりするのを負けとしている所さえある。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いつの頃に建てられたものか知りませんが、よほど古い社であったそうで、土地の者は龍神の社とも水神の社とも呼んでいましたが、その社の前に木馬もくばが立っていました。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
身には饅頭笠まんじゅうがさと赤合羽で、片手には「六所明神社務所」の提灯を持ち、片手には夜番の者が持つような六尺棒をついて、刀脇差は合羽の下に隠し、木馬もくばから御宮おんみや、本社を一廻りして
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と長谷川さんは周囲あたりを見廻した。私達は運動場の木馬もくばりかゝっていた。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
致せ湯責ゆぜめ責水責鐵砲てつぱう海老えび熊手くまで背割せわり木馬もくばしほから火のたま四十八の責に掛るぞヤイ/\責よ/\との聲諸とも獄卒ごくそつ共ハツと云樣無慘むざんなるかな九助を眞裸まつぱだかにして階子はしごの上に仰向あふむけに寢かし槌の枕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あれ あれ 木馬もくばもお通りなさる