有王ありおう)” の例文
いや決してそんなことはあるまい。わしの安否あんぴまらぬうちに、自害する勇気はとてもあるまい。それに有王ありおうがついている。あの忠実な勇敢な下僕しもべが。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
有王ありおうが、故主の俊寛を尋ねて、都からはるばると九ごくに下り、そこの便船を求めて、硫黄商人の船に乗り、鬼界ヶ島へ来たのは、文治ぶんじ二年の如月半きさらぎなかばのことだった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「しかし会えぬものならば、——泣くな。有王ありおう。いや、泣きたければ泣いてもい。しかしこの娑婆しゃば世界には、一々泣いては泣き尽せぬほど、悲しい事が沢山あるぞ。」
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一条二条の大路おおじの辻に、盲人が一人さまようているのは、世にもあわれに見えるかも知れぬ。が、広い洛中洛外らくちゅうらくがい、無量無数の盲人どもに、充ち満ちた所を眺めたら、——有王ありおう
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
有王ありおう(俊寛の昔の家僮かどう
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
僧都そうず御房ごぼう! よく御無事でいらっしゃいました。わたしです! 有王ありおうです!」
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)