有態ありてい)” の例文
お心懸りになっては、折角の茶にもさわりますから有態ありてい申し上げましょう——実は、お察しの通り、真にゆるされたのではございませぬ。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、友人の妹を貰うからには何かある。殊にそれが女子大と来ている。僕も白状したんだから、君も有態ありていに白状し給え」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そればかりでなく、有態ありていに申しあげにくい事情がありましたので——
無駄骨 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
たしかにその万吉は、四、五日前に、いちど此家ここへ姿を見せたろう、イヤ、たしかにこの大阪へ帰っている訳だ。有態ありていにいえッ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、有態ありていに申します。自分は真定州の生れで、苗字はもう、名はこう、あわせて孟康もうこうといい、本職は船大工で、それも大江たいこうを上下するような大船造りが得意です。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それゆえどうしても大岩山に踏みとどまるお覚悟と申され、如何とするも、意志を変じるお気色は見えず、やむなく立ち帰りました——との口上を有態ありていに復命した。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「余が下屋敷へ、汝の手から住み込ませた同腹の女があろう。ここに居並んだ奥仕えの女の内にその廻し者がひそんでいる筈。有態ありていに名を明かさば、命だけは助けてつかわそう」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一同の家財を没収し、断罪にしてもよいところだが、今までの役人方の手落ちもある。この度だけは、見のがして遣わすが、石数こくすうのところは、有態ありていの通り書き直して差し出せ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その事から、前身の罪業まで、残らず有態ありていに自白してしまうと
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有態ありていに云わぬと、こうだぞっ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有態ありていに報告しておけ
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)