有平糖あるへいとう)” の例文
有平糖あるへいとうのようなかみしもを着て、鼻の下に白粉を塗ったまま、手拭を首っ玉に巻いた姿で、ガラッ八の前へヒョイとお辞儀をしました。
洋傘ようがさ直しは荷物にもつへよろよろ歩いて行き、有平糖あるへいとう広告こうこくつきのその荷物をかたにし、もう一度いちどあのあやしい花をちらっと見てそれからすももの垣根かきねの入口にまっすぐに歩いて行きます。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ただ台所で音のする、煎豆いりまめに小鼻をいからせ、牡丹ぼたん有平糖あるへいとうねらう事、毒のある胡蝶こちょうに似たりで、立姿たちすがた官女かんじょささげた長柄ながえを抜いてはしかられる、お囃子はやし侍烏帽子さむらいえぼうしをコツンと突いて、また叱られる。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
捜すがいい。黒衣があったら念入りに見るんだぜ。それから道化の衣裳——有平糖あるへいとうのようなかみしもがもう一と揃いあるはずだ。それも見て来るがいい
てくてくあるいてくるその黒い細いあしはたしかに鹿しかています。そして日がっているために荷物の上にかざされた赤白だんだらの小さな洋傘は有平糖あるへいとうでできてるように思われます。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
有平糖あるへいとうの洋傘もいまは普通ふつうの赤と白とのキャラコです。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)