時稀ときたま)” の例文
釣れなかった日のことは棚へ上げて、吉野川で一尺からのを四十釣ったの五十釣ったのと時稀ときたまの成功だけを吹聴ふいちょうしています
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
信長は、屋外に幔幕まんまくを張らせ、そこを参謀本部として、時稀ときたま傍らの茶屋で休息をとるくらいな程度で夜をかしていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有島さんは札幌に住んでいて、ここの農場には時稀ときたま見廻りに来るくらいだったらしい。よく馬に乗って農場を見廻って居られましたということであった。
小さい機縁 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「いや。時稀ときたま殿後しんがりを勤めることもあるよ。しかし然ういう時は却って重いから、矢っ張り早くやって貰う方が宜い」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
また時稀ときたま、「どんな物を持ってるの」とそこの主婦に訊かれても、唯どぎまぎばかりして、さっそく荷を並べて勧める如才じょさいも出ないでいるまに、「じゃあ、今度にするわ」と断わられてしまうなど
「真平だ。毎朝そんなに一生懸命になって資本もとを入れるよりも時稀ときたま風邪をひいて済崩なしくずしにする方が楽だよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大井川へ時稀ときたま現れるそうです。龍燈りゅうとうだという説もありますが、何方どっちにしても好い加減なもんですよ。片葉の蘆というのは実際不思議で、葉が片一方丈けへ出ます。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「いや、やり方が悪いと時稀ときたま間違が起るんだ。ラジオ体操だって、やり方によっては肋膜炎になる」
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「それはあなた、交際で時稀ときたまは仕方ないんです。然う/\逃げて帰れば皆に冷かされますもの」
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
野球の間違は極く時稀ときたまだ。しかし山登りは年外ねんが年中犠牲を出している。今を何ういう時勢だと思う? 有為の青年が山へ登って命を捨てゝいられるか? 当局は事変中登山を
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「自然爆発という奴で、強い酒を飲む西洋人には時稀ときたまある現象だそうだが、日本では初めてだと言って医者が感心していた。煙も出たし、身体中が黒くなっていたから、あれは確かに燃えたんだね」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
二十五円の先輩は時稀ときたま上京すると母校を訪れることを忘れなかった。私達は卒業が迫っているから、彼等の経験によって裨益ひえきしようと思って、種々いろいろと当って見る。皆相応得意でメートルを上げて行く。
首席と末席 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)