きぞ)” の例文
けれども、かたくなな当麻氏の語部の古姥の為に、我々は今一度、去年以来の物語りをしておいても、よいであろう。まことに其は、きぞの日からはじまるのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
きぞ飛びて空ゆながめし瀬戸の海を今日船路ふなぢ行き波のわたる
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
桁丈ゆきたけきぞのままぞも
ふみ読みて楽しかりにしきぞへばおき掻きほぜり冬よるべなし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨けぶる孟宗見ればきぞの夜の颱風のなごりけだしこもれり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おほらかにありつるきぞの朝酒と再眺またながめして名護屋にぞ居る
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その家の低空にしてきぞ浴びし風呂の煙の早や立ちそめぬ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)