日和山ひよりやま)” の例文
そういう古いお住まいの一つが、山陰道さんいんどう城崎きのさき温泉からそんなに遠くない瀬戸せと日和山ひよりやまの上にもあります。瀬戸神社がそれです。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
日和山ひよりやまのうら山に、小野の小町のお墓があるつて、ほんとでせうか?」と訊いたが、Fも知らず、茶店の人も知らなかつた。
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
的矢は伊勢湾の入口の小さい入江にあった。そこで死んだというのに墓があるはずの日和山ひよりやまはなぜか少し離れた場所にある。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
上り下りに馬鹿骨が折れる丈けに樋の山はいながらにして城址しろあとでも日和山ひよりやまでも一目に見えるから一々足を運ぶ手間がはぶける。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのうちに世は動力利用の時代になってきて、多数の桑名屋徳蔵くわなやとくぞうい去ってあとぐ者なく、湊々みなとみなと日和山ひよりやまは、大抵はもう遊園地に化してしまった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二見ふたみじゃ初日を拝んで、堺橋から、池の浦、沖の島で空が別れる、上郡かみごおりから志摩へ入って、日和山ひよりやまを見物する。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
倉持はそう言って出て行ったが、銀子はちょっと顔を直し、子供に留守を頼んで家を出たが、そこは河に近い日和山ひよりやますそにある料亭りょうていで、四五町もある海沿いの道を車で通うのであった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
日和山ひよりやま
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
私達はあの瀬戸の日和山ひよりやまで望んで來た日本海を、城崎から香住までの汽車の窓からも望み、香住では岡見公園といふ眺望のある位置からも望んで見た。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
駅に近い方に戻つて来て日和山ひよりやまに行つてみた。だらだら坂ののぼり口に桜の樹が沢山かたまつて立ち、わくらはの落葉がすこしづつ散つてゐる時であつた。
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
瀬戸から日和山ひよりやまへかけては、この雨のすくない乾いた梅雨期でなしに、他の季節を選んで、もつとゆつくり歩いて見たらばと思はれるやうなところだ。日は次第に高くなつた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
石の巻日和山ひよりやまのうへにわが見たる海とそらとのことなる日光ひかり
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)