新姐しんぞ)” の例文
男はまだしも、おんなもそれです。ご新姐しんぞ——いま時、妙な呼び方で。……主人が医師いしゃの出来損いですから、出来損いでも奥さん。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(のう、ご親類の、ご新姐しんぞさん。)——くわしくはなくても、向う前だから、様子は知ってる、行来ゆきき、出入りに、顔見知りだから、声を掛けて
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
十九にはなるまい新姐しんぞさきに、一足ひとあしさがつて、櫛卷くしまきにした阿母おふくろがついて、みせはひりかけた。が、ちやう行者ぎやうじや背後うしろを、なゝめとりまはすやうにして、二人ふたりとも立停たちどまつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、町が狭いので、向う側の茶店の新姐しんぞに、この小兀すこはげを見せるのが辛かったよ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途中、五位鷺の声もきかず、ただ西福寺裏で行逢った、寂しく、あわれなおんなを聞くと、兄は深くうなずいた。が、まずいうがままにいたされよ、で、ご新姐しんぞに意を得させ、なべをもって酒を煮た。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああとするあかね新姐しんぞも、まんざら雨宿りばかりとは見えなかった。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おお、こりゃ、雪の家の、ご新姐しんぞ。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「やあ、塗師屋ぬしや様、——ご新姐しんぞ。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)