敵打かたきう)” の例文
伊賀の上野の鍵屋かぎやつじというのは、かの荒木又右衛門が手並てなみを現わした敵打かたきうちの名所。
去年の春から、敵打かたきうちの厳禁——そうです、敵打ちの厳禁でさ。政府も大きな仕事をやったもんさね。親兄弟きょうだいあだを勝手にかえすようなことは、講釈師の昔話になってしまいました。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いわば、今宵こよい良人おっと射殺事件は、あたかも竹花中尉の敵打かたきうちをしたようなものだった。この隠れた事実を、紅子が知ったのは、く最近のことで、それを教えたのは、炯眼けいがんきまわる大蘆原軍医だった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『皆さん。正造が吃度敵打かたきうちをしてあげますよ』。
大野人 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「神崎様、昨夕の敵打かたきうちよ!」
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
半蔵はよく町々の絵草紙問屋えぞうしどんやの前に立って見るが、そこで売る人情本や、敵打かたきうちの物語や、怪談物なぞを見ると、以前にも増して書物としての形も小さく、紙質もしく、版画も粗末に
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)