)” の例文
留守をつとめていた腹心の早川主膳には、主人が何で鎌倉のご不興をこうむったのか、心外でならないらしく、いまも、道誉が昼酒にうつっているその席で
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浮いたところのすこしもない、さればと云つて心鬱した不安の状もなく、悠然として海の廣みに眼をる體度は、雨に曝され雪に撃たれ、右から左から風にめられて、磯馴の松の偏曲もせず
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
浮いたところのすこしもない、さればと云ツて、心欝した不安のさまもなく、悠然ゆつたりとして海の広みに眼を態度こなしは、雨にさらされ雪に撃たれ、右から左から風に攻められて、磯馴の松の偏曲ひねくれもせず
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)