撥返はねかえ)” の例文
それ等の軽い物体は、代りばんこに引きつけられたり撥返はねかえされたりする。電気はその細長い電気を起してゐる紙から物体へと急速に行つたり来たりするのだ。
此処こゝへ大橋の方から前橋まえばし松屋新兵衞まつやしんべえが駈付けてまいりましたが、人ごみで少しも歩けませぬ、突退つきの撥返はねかえし、あるいは打たれ或はたゝかれ、転がるように駈出しましたが
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
がたりと、かどの戸をしめたいきおいで、軒に釣った鳥籠をぐゎたり、バタンと撥返はねかえした。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平常はせんがしてありますが、雨が降って来ますと、亜鉛の漏斗じょうごの大きなのを挿入れます。夕立の激しく降る時にはひどい音がしますし、あられなどは撥返はねかえって、見ているのが面白いのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
露地のように細いみちが軒下を縦横に通じ、歩く度に、ばたんばたんとドブ板が撥返はねかえって、すえたような、一種異様な臭気が、何かしら、胸に沁みいるようにあたりにこもっていたからであった。
腐った蜉蝣 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)