さぐ)” の例文
内儀は白糸の懐に出刃をつつみし片袖をさぐてて、引っつかみたるままのがれんとするを、畳み懸けてそのかしらり着けたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうして加減かげんのところで、突込つゝこんでさぐつてると、たしかさはるものがある。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
だが、首にそれをかける前に、それをさぐらなければならない。漁夫達は船に乗り、そして彼等は、大きな石を結びつけて海の底にまつすぐに垂らした綱を伝つて順々に、海の中へ降りてゆく。
真綿はまゆ曹達ソーダでくたくた煮ていとぐちさぐり、水にさらしてさなぎを取りてたものを、板にしてひろげるのだったが、彼女はうた一つ歌わず青春の甘い夢もなく、脇目わきめもふらず働いているうちに
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
渠は直ちに帯佩おびさげの蟇口がまぐちを取り出して、中なる銭をさぐりつつ
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)