控目ひかえめ)” の例文
公然開放的の顔のことゆえなんぴとも見るのであるが、その見られるのが怖気おじけうながす。かく何か弱点があって、自分じぶん控目ひかえめになることの自覚があると怖気おじける。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
お互に控目ひかえめにするより外には仕方がないのでしょうが、思うままに振舞おうとする人が一人でもある時は、誰も彼も不平を起して、治まるはずがなくなります。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
一八九四年「牧神の午後」が国民音楽協会で演奏され、ドビュッシーは始めて成功の曙光しょこうを認めた。批評家達は当惑しながらもきわめて控目ひかえめめなければならなかったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
控目ひかえめに、しかし見る人によってはほとんど完全な姿で代表しているのだ。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
一切いっさい万事ばんじ控目ひかえめにして世間の耳目じもくれざるの覚悟かくごこそ本意なれ。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)