探題たんだい)” の例文
かえりみるとここまでの彼はたしかに順調だった。中国探題たんだいに任ぜられ、西征総司令官として、意のままに機略を振うことができたのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六波羅探題たんだいの奉行職、斎藤太郎左衛門利行の娘が、かれ頼春の妻なのであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれは信長の命によって、勝家の北陸探題たんだい輔佐ほさして、共に越中に在任していたのであるが、勝家の滅亡と、秀吉の隆々りゅうりゅうたる勢いを見ては
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まだ北条の勢威もさかんだった正中しょうちゅうの頃から、彼のみは、幕臣でありながら公卿方にまじわり、探題たんだいの弾圧がくだる日も、蔭で宮方をたすけておった」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よろこぶときは度を外して歓ぶ。信長の性情に見る特質である。彼はまた朱印しゅいんをもって、秀吉を播州ばんしゅう探題たんだいほうじた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉が中国探題たんだいとして、ここに臨んで後、織田に属し、自然秀吉に随身ずいしんして来た輩ではあるし、かつは、黒田官兵衛にとっても、家系の主筋にあたる人々。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知らぬのか。逃がしては、なるまいぞっ。捕まえろ、牛の背にひっくくって、六波羅の探題たんだいへ、突き出してくれる
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六波羅ろくはら探題たんだいから、なんぞ、お許様もとさまへ、やかましい詮議せんぎだては、ありませんでしたか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにせば中国探題たんだいの職分をまっとうしうるか、いかにせばよく信長公の御委嘱ごいしょくに最善な御満足をおこたえし得るか、またいかにせば目前の三木城をおとし得るか——それに御専念のほか
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中国探題たんだいの居城として、まさに姫路は絶好な拠点だった。秀吉はそこに移るとすぐ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中国の探題たんだい羽柴筑前守と一介の茶弟子於福おふくとは、おのずから奉じゆく道はちがうが、世に楽土らくどて、人に益し、あわせて自分一箇も人間らしゅう達成してゆこうとする志に変りはない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼とは、織田随一の出頭人、北陸の探題たんだい、柴田修理亮しゅりのすけ勝家のことである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)