)” の例文
その店に縁故の深い人の世話で、叔父の三吉にも身元保証の判をかせ、当分は見習かたがた外廻りの方をやっていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
名前の下へ印をかねばいくまいと云ふから、袂の中から坂本とつた見印みとめを出して捺いてやつたさうです。
それは「みみずのたはこと」が出た大正二年から今大正十二年にわたる十年間の私共の消息なり述懐なりで、即ちまた私共がみみずのたはことに奥印おくいんであります。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
つい義理で判をいてったのがもとで、立派な腕をちながら、生涯社会の底に沈んだまま、藻掻もがき通しに藻掻いている人の話は、いくら迂闊うかつな彼の耳にもしばしば伝えられていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
太鼓判をいておすすめ致したにつきましては私にも深い覚悟が御座いました。
わしの方へ布告が廻った事もありやんすが、読めねえだ、手習てなれえした事がねえから何だか分らねえから印形いて段々廻すだ、時々聞きに来いなんど云うが、郡役所だって一里半もあるので
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところがその金が郷里くにの銀行宛で来たというものだ。ホラお前も知ってる通り、正太の父親おとっさんがああいう訳で、あの銀行に証文が入ってる、それに俺が判をいてる。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
角「とんだ事になりました、あゝ金を貸せば宜かった、道理で主人のために金が入るだ、主人もわしも印形をいて証文を張るからって名前さえ明かしたが、よもや、嘘だと思うから貸さなかったッけ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「手前は何のために受人に成って、印形いんぎょういた」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)