捷報しょうほう)” の例文
九月末にいたり、黄海の捷報しょうほうは聞こえ、さらに数日すじつを経て負傷者のうちに浪子は武男の姓名を見いだしぬ。浪子は一夜眠らざりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
土州因州あたりは旧士族ばかりでなく一般の人々の気受けも薩摩の捷報しょうほうをよろこぶ色がある、あだかも長州征伐の時のようだなど言い触らすものさえある。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この捷報しょうほうは早くも開封かいほう東京とうけい汴城べんじょうの宮門へ飛脚されたので、天子徽宗きそうは大いによろこばれ、こう総理に聖旨せいしをくだして、御感ぎょかんの状と、黄封こうふうの宮廷酒十瓶とかめとを、征地の慰問に送らせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのころ、捷報しょうほうまた捷報の続いていたさしもの日露戦争の講和条約が結ばれた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「二月二十七日原城陥つ、賊徒誅に伏す」という捷報しょうほうが到着した。
日本婦道記:春三たび (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
プリンス・オブ・ウェールズが沈み、香港が陥ち、そこかしこの海戦にはめざましい捷報しょうほうが続々もたらされてくる年の暮ぎりぎり、病後の私は「近世浪曲史」六百枚の最後の項を急いでいた。
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)
魏の長安大本営では、大都督曹真が、王双からの捷報しょうほうを聞いて
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その頃もう、瀬田、石山方面の捷報しょうほうも洛中に伝わっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
との捷報しょうほうが入った。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)