捜出さがしだ)” の例文
また事実湿地でもあるから何処どこかに引移りたいと思い、飯倉いいくらの方に相当の売家うりや捜出さがしだしてほぼ相談をめようとするときに、塾の人の申すに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
珍々先生が帝国劇場において『金毛狐きんもうこ』の如き新曲を聴く事を辞さないのは、つまり灰の中から宝石を捜出さがしだすように
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それよりは御領内から絶世の佳人を捜出さがしだし、御傍に召仕めしつかわれては如何いかがでございましょう
「西の源治が土蔵の中から捜出さがしだした、古い記録にくわしく記してある——読んで御覧」
殺生谷の鬼火 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と三吉は、赤い葡萄酒ぶどうしゅの残りを捜出さがしだして、それを砕いた氷にそそいだ。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
仙果は人気ひとけのない水茶屋の床几しょうぎに置き捨ててある煙草盆たばこぼんから勝手に煙草の火をつけようとして、灰ばかりなのにちょッと舌鼓を打ったが、そのまま腰をおろ懐中ふところから火打石ひうちいし捜出さがしだしながら
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どうやらうやら布哇を捜出さがしだして、其処そこへ寄港して三、四日逗留した。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)