挿頭かんざし)” の例文
と言うより身震みぶるいせしが、俯伏うつむけにゆらめく挿頭かんざし、真白きうなじ、手と手の間を抜けつ、くぐりつ、前髪ばらりとこぼれたるがけざまに倒れかかれる、もすそ蹴返しかかとを空に、下着のくれない宙を飛びて
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今度このたびはいうべき事もかねて用意して、じれッたそうに挿頭かんざしで髪をきながら、漸くのおもい間隙すきを見附け、「公債は今幾何いくらなの?」とくちばしさんでみれば、さて我ながら唐突千万! 無理では無いが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)