こじ)” の例文
「いや、そうお叱りなさるな。小児というものは、その時の調子でひょいとこじれることがあるもんですよ。まあ、あとで食べさせたらいいでしょう。」
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
此の敵城あることをばそれがしも存ぜず候間に、先手の者ども、はや攻落して候、と空嘯そらうそぶいて片付けて置いて、さてそれからが反対に政宗の言葉に棒を刺してこじって居る。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
変更したために又こじれてもいけませんから、是非そうさせて下さいましな、と、かぶせて来るのであったが、雪子の気持を測りかねて、どうしょう? 雪子ちゃん
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼の怒りは縮れた長髪の先にまでもみなぎったかと思われた。その上、彼をこじらすためのように、夫人は勧められて「京の四季」かなにかを、みんなの余興の中に加ってうたった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
八日目で出来上ったが、風邪がこじれた。それから、布団で寝込んでしまった。黒猫の御飯を食べているのが、精一杯であった。五日前に起き出した。老人はまた朝の十時頃、「ハト」へ来た。
老人と鳩 (新字新仮名) / 小山清(著)
東京で池上と交際つきあえばその青年を妙な神秘憧憬病患者のようなことにしてしまうし、それをそのまゝ置いて、こんな風に旅出の日数を重ねたら、一層彼はこじれるに決まっているのに
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)