かこつ)” の例文
人は自分の情操を書き送るのに、あながちインキで指を汚すばかりじゃない。それを花にかこつけて、送る事も出来るだろうと思うのだよ
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
もし小僧が吩付いいつけられた時分にいやがってやらないと、何かにかこつけて太い棒でぶんぐられる。小僧は擲ぐられるよりぬすとをする方が楽ですからその命に従って盗をやる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
わたくしはかような訳の判らぬアンニュイな気持を捨鉢すてばちに朝飯の膳へかこつけまして
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
傳「それは伯父さんに聞いたよ、遁辞いいぬけで伯父さんにかこつけると云う事は知ってる」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今世に伝われる『イソップ物語』は決してそんな古いものでなくずっと後の人がイソップにかこつけて書き集めたものという、しかし何に致せ西洋話本の親方としてその名声を争うものはない
さて橋本幸三郎は霊岸島から橋場へ通いますには何かかこつけなければなりません。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)