打萎うちしお)” の例文
今日は前日のごとき元気なく、そっと大原の側に寄り「満さん、あんまり遅いから心配して迎いに来たのよ」と打萎うちしおれて悲し気に言う。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
彼女それ打萎うちしおれた侘しそうな風をしていたが、その姿をちらと見ると前の女が子供の方へ声をかけた。
二人の母親 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「……ですが……私はとても、そんな出世の出来る者では御座いません」と急にお玉は打萎うちしおれた。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
母屋へ行って支配人の常吉に逢ってみると、これも恰幅かっぷくの好い五十男で、ひどくおいの勇次郎の死んだのが打撃だったらしく、大きな身体で打萎うちしおれているのは気の毒でした。
開幕前妾がひどく打萎うちしおれているのを見て、一座の日本女優の松子がそれと察して、ジョージ・佐野が、今日は珍らしくはしゃいで好きな場末の流行歌などを歌ってふざけていたなどと
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
と云われ新吉は打萎うちしおれ溜息をきながらお賤に向い
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
打萎うちしおれたる様子。)
... つぶして逃げ出すだろう。お登和や、豚饂飩ぶたうどんが出来ているなら私におくれな」妹「ハイ、お客様にも差上げましょうか」と大原の様子をうかがえども大原は打萎うちしおれて黙っている。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
娘の沈んだ声も、打萎うちしおれた様子も、彦兵衛の怒りをなだめるよしはなかったでしょう。
平次は打萎うちしおれて引下がる和助の後ろ姿を見ております。