打斬うちき)” の例文
大「一時遁いっときのがれに請合うけあって、し此の事を御舎弟附の方々かた/\へ内通でもいたすと、貴様のたくへ踏込んで必ず打斬うちきるぞ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三尺さんじゃくを腰低く前にて結びたるあそにんらしき男一人、両手は打斬うちきられし如く両袖を落して、少し仰向あおむき加減に大きく口を明きたるは、春の朧夜おぼろよ我物顔わがものがお咽喉のど一杯の声張上げて投節なげぶし歌ひ行くなるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
伯父さんは堅いかただから、すぐ大刀だいとうふるって躍込おどりこみ、打斬うちきろうかとは思いましたが、もう六十の坂を越した御老体、前後の御分別がありますから、じっと忍耐がまんをして夜明を待ちました。