手腕しゅわん)” の例文
青年は知識にも思慮にもまた手腕しゅわんにおいても、まだまだ不足あるかわりに、ある命令のもとに仕事するときはもっとも熱してあたる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
手腕しゅわん」があるといえば力量のある意味であります。それ故「腕利うできき」とか「腕揃うでぞろい」などという言葉も現れてきます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
あまりうまいので、私はときどき自分が小説家たることを忘れて彼の手腕しゅわん嫉妬しっとを感ずるほどだ。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
武子台に難を避けた定公の身辺にまで叛軍はんぐんの矢がおよぶほど、一時は危かったが、孔子の適切な判断と指揮とによってわずかに事無きを得た。子路はまた改めて師の実際家的手腕しゅわんに敬服する。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
鯛なんて薬にしたくってもありゃしない。今日は露西亜文学の大当りだと赤シャツが野だに話している。あなたの手腕しゅわんでゴルキなんですから、わたしなんぞがゴルキなのは仕方がありません。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
交通こうつうを開き事をはかりたる者にて、流石さすがは外交家の手腕しゅわんを見るべし。
日ごろそれほどその人の人格手腕しゅわんに対し疑いを有したならば、何ゆえにあらかじめ警戒しなかったかと思えば、非難する人の人格そのものもうたがわしくなる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
手腕しゅわん」があるといえば力量のある意味であります。それ故「腕利うできき」とか「腕揃うでぞろい」などという言葉も現れてきます。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そういって青竜王ならぬ一郎は、卓越たくえつした手腕しゅわんみずから惜し気もなく捨ててしまった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかるになんぞはからん、開会の始めにあたり上院にその人ありと聞こえたルート氏が座長ざちょうえらばれた。この人の手腕しゅわんでも出席者の昂奮こうふんなだめ得ないであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)