手洗ちょうず)” の例文
この百日足らずのうちに、われながら白髪しらがえてきたのが分る。朝毎の手洗ちょうずの折に、鏡を見るのも、この頃は怖ろしい気がする——。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一晩絵図面の番をした棟梁でも、朝になれば手洗ちょうずも使い、飯も食うだろう。その間神棚の下に居たのは誰だ」
翌朝床を離れて手洗ちょうずをすますと、お庄は急いで、お増の宿まで行って見たが、切り戸はまだ締っていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「でも間違いにちがいないのだから勘弁して下さいよ。わたしは今手洗ちょうずに行って来ただけです」
猫と村正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
一枚しめ残した雨戸のあいだから手洗ちょうずをつかいながら、何気なく向うの繁みを見ると、風もないのに縞笹しまざさの葉が揺れ動いて、そこにむっくりと起ちあがった黒い影があった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あくる朝は常より早目に起きたにもかかわらず、彼がうがい手洗ちょうずをつかっていると、もうどかどかと早暁そうぎょうの大廊下から玄関へと、人の跫音あしおとがながれてゆく気配であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酔が回ると手洗ちょうずに下へ降りた時、下女のお角に頼んで、梯子の下の三畳に置いた、自分の風呂敷の上へせたそうで、現に、さやはそのまま、風呂敷包の上に置いてありました
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お銀は子供の寝息をうかがって、やっと手洗ちょうずをつかいに出たりかわやへ行ったりした。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「無駄だよ、相変らず家中の口が揃っているんだ。——若旦那は風呂へ行って帰ったきり、店から一と足も動かないとな。あの家の人間は、手洗ちょうずにも行かないような顔をしやがる」
そして、清水せいすいをくんで手洗ちょうず、嗽口をすまし、あらためて席へもどってくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「幾太郎は梅吉に身代りを頼んで、夜中手洗ちょうずに行く親父の眼を誤魔化ごまかし、そっと抜け出してお艶に逢いに行ったんだろうよ。今までもちょくちょくそんな事をやっていたに違えねえ」
と、衣服を着かえて、手洗ちょうずを使い始めた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手洗ちょうずに起きたと思うだろうよ」
手洗ちょうずに一度出ましたよ」